結論
国土交通省は、2021年(令和3年)10月8日に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました[1]。このガイドラインでは、老衰や病気による自然死や、転倒事故・誤嚥などの日常生活の中での不慮の死は、原則として告げなくてもよいとされています[1]。一方、自然死であっても長期間発見されずに特殊清掃が行われた場合は、原則として告知の対象になります[2]。売却を考えるときは、売主として把握している事実を、媒介を依頼する不動産会社に正確に伝えることが出発点になります。
この記事で分かること
- 国土交通省のガイドラインの目的と対象
- 告げなくてもよいとされる死と、告知の対象になる死
- 孤独死(特殊清掃が行われた場合)の扱い
- 賃貸と売買での違い
ガイドラインの目的と対象
このガイドラインは、取引の対象となる不動産で過去に人の死が生じた場合に、宅地建物取引業者(不動産会社)が宅地建物取引業法上負うべき義務の解釈について、裁判例や取引実務に照らして、一般的に妥当と考えられるものを整理したものです[1]。
全日本不動産協会によると、ガイドラインは居住用の不動産を対象としています[2]。集合住宅については、専有部分だけでなく、ベランダなどの専用使用が可能な部分や、共用の玄関・エレベーターなど、日常生活で住み心地に影響を与えると考えられる部分も対象とされています[2]。
不動産会社の調査と、売主の役割
ガイドラインでは、不動産会社が媒介を行う場合、売主・貸主に対して、過去に生じた人の死について告知書などに記載を求めることで、通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとするとされています[1]。
つまり、不動産会社は、売主から提供される情報をもとに、買主への告知を判断することになります。売主が把握している事実を、告知書などに正確に記載することが大切です。
告げなくてもよいとされる死と、告知の対象になる死
| 区分 | ガイドラインでの扱い |
|---|---|
| 自然死(老衰、病死など)・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など) | 原則として告げなくてもよい[1] |
| 上記の死で、長期間放置され特殊清掃などが行われた場合 | 原則として告知の対象[2] |
| 他殺、自死、事故死、その他原因が明らかでない死 | 原則として告知の対象[2] |
孤独死の扱い
いわゆる孤独死であっても、死因が自然死であれば、原則として告げなくてもよい区分に入ります[1]。ただし、長期間発見されずに特殊清掃が行われた場合は、原則として告知の対象になります[2]。
賃貸と売買での違い
ガイドラインでは、賃貸の場合、告知の対象となる死が発生してから概ね3年が経過した後は、原則として告げなくてもよいとされています[1]。
一方、売買の場合については、この「概ね3年」という期間は示されていません[1][2]。
千葉県のデータ
事故物件の件数を市町村ごとに示す公的な統計は、この記事の作成時点で確認できていません。ガイドラインは全国共通のもので、千葉県内の物件にも同じ考え方が当てはまります。
具体例(想定例)
以下は、ガイドラインの考え方を説明するための想定例です。個別の事情によって判断は変わります。
想定例1:住んでいた親が、自宅で病気により亡くなり、すぐに発見された場合 自然死にあたり、特殊清掃なども行われていない場合は、ガイドラインでは原則として告げなくてもよい区分に入ります[1]。
想定例2:自然死だったが、発見までに時間がかかり、特殊清掃が行われた場合 ガイドラインでは、原則として告知の対象になります[2]。売却を依頼する不動産会社に、事実を正確に伝えてください。
注意点
「原則」には例外があります。 ガイドラインの区分は「原則として」の扱いです。個別の事情によっては、告知が必要と判断される場合があります。判断に迷う場合は、媒介を依頼する不動産会社や、弁護士などの専門家にご相談ください。当サイトでは、個別の事案についての判断は行っていません。
事実を隠して売ると、トラブルの原因になります。 告知が必要な事実を伝えずに売却すると、売却後に買主との間でトラブルになるおそれがあります。売主が把握している事実は、正確に伝えてください。
当サイトでは、個別の物件や事案を取り上げません。 当サイトは、特定の物件や関係者が識別できる情報を掲載しない方針です(編集方針)。
不動産会社への売却は、クーリング・オフの対象外です。 詳しくは「千葉県の空き家買取とは?」をご覧ください。
売却・買取という選択肢
| 選択肢 | 概要 |
|---|---|
| 仲介で売る | 不動産会社に買主を探してもらう。告知が必要な事実は、不動産会社を通じて買主に伝えられる |
| 買取を依頼する | 不動産会社が自ら買主となり、直接買い取る |
どちらの方法でも、売主が把握している事実を正確に伝えることが前提になります。
参考資料
- 国土交通省「『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』を策定しました」(2021年10月8日)https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00029.html
- 公益社団法人 全日本不動産協会「建物内の人の死亡の事実等の告知義務」https://www.zennichi.or.jp/law_faq/%E5%BB%BA%E7%89%A9%E5%86%85%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E3%81%AE%E4%BA%8B%E5%AE%9F%E7%AD%89%E3%81%AE%E5%91%8A%E7%9F%A5%E7%BE%A9%E5%8B%99/