結論
空き家を売却する主な方法は、「不動産会社の仲介で売る」「不動産会社に買い取ってもらう」「空き家バンクに登録する」の3つです。仲介で売る場合は、不動産会社と3種類のいずれかの媒介契約を結びます[1]。また、売買価格が800万円以下の物件には、2024年7月1日から仲介手数料の上限に関する特例が適用されています[3]。
この記事で分かること
- 空き家を売却する3つの方法と、それぞれの違い
- 仲介で売る場合の媒介契約の種類
- 800万円以下の物件の仲介手数料の特例
- 千葉県の空き家の種類別の内訳
空き家を売却する3つの方法
| 方法 | 買主 | 概要 |
|---|---|---|
| 仲介で売る | 個人・法人など | 不動産会社と媒介契約を結び、買主を探してもらう |
| 買取を依頼する | 不動産会社 | 不動産会社が買主となり、物件を直接買い取る |
| 空き家バンクに登録する | 利用希望者 | 市町村などが運営する制度に登録し、購入や賃借を希望する人を募る |
買取については「千葉県の空き家買取とは?」で詳しく解説しています。この記事では、主に仲介で売る場合の基本を整理します。
仲介で売る場合の大まかな流れ
仲介で売る場合、一般的には次の順に進みます。
- 不動産会社に相談し、査定を受ける
- 媒介契約を結ぶ(売却の依頼を正式に行う契約)
- 売却活動(不動産会社が買主を探す)
- 売買契約を結ぶ
- 決済・引き渡し(代金を受け取り、物件を引き渡す)
媒介契約は、不動産の売買を不動産会社に依頼するときに結ぶ契約です[2]。
媒介契約の3つの種類
媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、宅地建物取引業法でそれぞれのルールが定められています[1][2]。
| 項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
|---|---|---|---|
| 複数の不動産会社への依頼 | できる | できない | できない |
| 自分で見つけた買主との契約 | できる | できる | できない |
| 契約の有効期間 | 法律上の上限なし | 3か月以内 | 3か月以内 |
| 業務処理状況の報告 | 法律上の義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 指定流通機構(レインズ)への登録 | 法律上の義務なし | 契約から7日以内 | 契約から5日以内 |
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「媒介契約制度」[1]、公益社団法人 全日本不動産協会「一般媒介契約について」[2]。レインズへの登録期限は、不動産会社の休業日を除いて数えます。
指定流通機構(レインズ) とは、国土交通大臣が指定した不動産情報のネットワークで、専任媒介契約・専属専任媒介契約では、不動産会社が物件情報を登録することが法律で義務付けられています[1]。
800万円以下の物件の仲介手数料の特例
不動産会社が受け取れる仲介手数料(媒介報酬)には、国土交通省の告示で上限が定められています。原則として、依頼者の一方から受け取れる額は、物件価格に応じて一定の料率を掛けた金額の合計以内です[3]。
2024年7月1日の告示改正により、売買価格が800万円以下の宅地・建物(「低廉な空家等」) については、媒介に要する費用を考慮して、原則の上限を超えて報酬を受け取れるようになりました[3][4]。この場合の上限は、30万円に消費税を加えた額です[5]。
この特例の対象は、物件の使用の状態を問いません[5]。空き家に限らず、800万円以下の宅地・建物であれば対象になります。
千葉県のデータ
千葉県の空き家39万4,100戸を種類別に分けると、次のとおりです。
| 空き家の種類 | 戸数 |
|---|---|
| 賃貸用の空き家 | 196,400戸 |
| 売却用の空き家 | 17,200戸 |
| 二次的住宅(別荘など) | 21,900戸 |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 158,500戸 |
| 合計 | 394,100戸 |
出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」[6]、千葉県「令和5年住宅・土地統計調査 千葉県確報集計結果の概要」[7]。各区分の数値は四捨五入の関係で、合計と一致しない場合があります。2023年10月1日時点。
売却のために市場に出ている「売却用の空き家」は1万7,200戸で、売却や賃貸の予定がない「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」15万8,500戸の9分の1程度です。
また、国土交通省の全国調査(令和元年空き家所有者実態調査)では、空き家を取得した経緯の54.6%が相続で、空き家の所有者の約3割は、車や電車などで1時間を超える遠方に住んでいます[8]。
具体例(想定例)
以下は、特例の仕組みを説明するための想定例です。
想定例1:売買価格700万円の空き家を仲介で売る場合 売買価格が800万円以下のため、「低廉な空家等」の特例の対象になります。不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限は、30万円に消費税を加えた額です[5]。
想定例2:売買価格1,000万円の空き家を仲介で売る場合 売買価格が800万円を超えるため、特例の対象外です。仲介手数料の上限は、原則どおり物件価格に応じた料率で計算されます[3]。
注意点
特例の額は上限です。 特例で定められているのは受け取れる報酬の上限で、必ずその額になるわけではありません。実際の仲介手数料の額は、媒介契約を結ぶ前に不動産会社に確認してください。
媒介契約の種類は、契約書で確認できます。 どの種類の媒介契約を結ぶかによって、依頼できる会社の数や報告の頻度が変わります。契約の前に、契約書の種類と内容を確認してください。
相続した空き家には税金の特例があります。 相続した空き家を一定の要件のもとで売った場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります(令和9年12月31日までの売却が対象)[9]。要件に当てはまるかどうかは、税務署や税理士にご確認ください。詳しくは「千葉県で相続した空き家を売る方法」で解説しています。
売却・買取という選択肢
仲介と買取には、次のような違いがあります。
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 個人・法人など | 不動産会社 |
| 仲介手数料 | かかる | 不動産会社が直接の買主となるため、仲介手数料はかからない |
| 売却までの期間 | 買主が見つかるまでの期間による | 不動産会社との合意で決まる |
どちらが向いているかは、物件の状態や立地、売却を急ぐかどうかによって異なります。複数の不動産会社に相談し、条件を比べて判断することができます。
参考資料
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「媒介契約制度」https://www.reins.or.jp/contract/
- 公益社団法人 全日本不動産協会「一般媒介契約について」https://www.zennichi.or.jp/law_faq/一般媒介契約について/
- 東京都住宅政策本部「宅地建物取引業法等の改正について(空き家対策推進のための報酬告示改正等)」https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/juutakuseisaku/tokyo_douga_2410_04
- 高知県「空き家等に係る媒介報酬規制の見直しについて(令和6年7月1日施行)」https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/2024091900481/
- 公益財団法人 不動産流通推進センター「低廉な空家等の売買等の媒介報酬の特例(改正)」https://www.retpc.jp/archives/30292/
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果」https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html
- 千葉県「令和5年住宅・土地統計調査 千葉県確報集計結果の概要」https://www.pref.chiba.lg.jp/toukei/toukeidata/jutakutochi/r5/r5jutakutochikekka.html
- 国土交通省「空き家の取得経緯・所有者の居住地との関係」(令和元年空き家所有者実態調査より)https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001518774.pdf
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm