結論

2024年4月1日から、相続で不動産を取得した人には相続登記の申請が義務付けられています[1]。それより前に相続した不動産も対象です[1]。また、相続した空き家を一定の要件のもとで2027年(令和9年)12月31日までに売った場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります[3]。特例が使えるかどうかは要件によって決まるため、税務署や税理士への確認が必要です。

この記事で分かること

  • 相続登記の義務化の内容と期限
  • 相続した空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の主な要件
  • 相続した空き家を売るまでの大まかな流れ

相続登記の義務化とは

相続登記とは、亡くなった方が所有していた不動産の名義を、相続した人に変更する登記です。

法務省によると、相続登記の申請義務化は2024年(令和6年)4月1日に施行されました[1]。義務化の主な内容は次のとおりです。

項目内容
施行日2024年(令和6年)4月1日
期限相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内
施行日より前の相続対象。2027年(令和9年)3月31日まで(取得を知った日が2024年4月以降の場合は、その日から3年以内)
正当な理由なく申請しない場合10万円以下の過料の対象

出典:法務省「相続登記の申請義務化について」[1]

遺産分割がまとまらない場合の方法もあります。 期限内に相続登記をすることが難しい場合に備えて、「相続人申告登記」という簡易な制度が2024年4月1日から始まっています[2]。自分が登記簿上の所有者の相続人であることなどを、期限内に登記官に申し出ることで義務を履行できる制度で、相続人の1人が単独で申し出ることができます[2]。

相続した空き家の3,000万円特別控除

相続した空き家を売って利益(譲渡所得)が出た場合、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります[3]。国税庁は、これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と呼んでいます[3]。

主な要件は次のとおりです[3]。

区分主な要件
売却の期間2016年(平成28年)4月1日から2027年(令和9年)12月31日までの売却
売却の期限相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
家屋1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたこと
家屋区分所有建物登記がされている建物(マンションなど)でないこと
家屋相続の開始の直前に、亡くなった方以外に住んでいた人がいなかったこと
売却代金1億円以下であること
相続後の使い方相続の時から売却の時まで、事業・貸付け・居住に使っていないこと

このほか、家屋について一定の耐震基準を満たすこと、または家屋を取り壊すことなどの要件があります[3][4]。要件の詳細は、国税庁のタックスアンサーでご確認ください。

相続人が3人以上の場合は、控除の上限が変わります。 2024年1月1日以後の売却で、家屋と敷地を相続した相続人が3人以上の場合、控除の上限は2,000万円になります[3]。

市町村の確認書が必要です。 この特例を受けるには、物件がある市町村から「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受ける手続きがあります[4]。たとえば千葉市内の物件の場合は千葉市が確認書を交付しており、発行には2〜3週間程度かかるとされています[4]。千葉県内のほかの市町村の物件は、物件がある市町村の担当窓口にお問い合わせください。

相続した空き家を売るまでの大まかな流れ

  1. 誰が不動産を相続するかを決める(遺言や遺産分割による)
  2. 相続登記をする(期限は取得を知った日から3年以内[1])
  3. 売却の方法を決める(仲介・買取・空き家バンクなど)
  4. 売却する
  5. 特例を使う場合は、確定申告で手続きをする

登記の手続きは法務局、税金の特例は税務署、特例の確認書は市町村が窓口です。個別の手続きについては、司法書士・税理士などの専門家にもご相談いただけます。

千葉県のデータ

千葉県の空き家のうち、賃貸・売却用や別荘などを除いた空き家(長期不在の住宅など)は15万8,500戸で、2018年(平成30年)から1万4,100戸増えています[5]。

また、国土交通省の全国調査(令和元年空き家所有者実態調査)では、空き家を取得した経緯の54.6%が相続でした[6]。

具体例(想定例)

以下は、制度の要件を説明するための想定例です。個別の事情によって結論は変わります。

想定例

想定例1:1990年に建築された家を相続した場合 3,000万円特別控除の対象となる家屋は、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたものです[3]。1990年に建築された家屋は、この要件に当てはまりません。

想定例

想定例2:相続人3人で家と敷地を相続し、2025年に売却した場合 2024年1月1日以後の売却で、相続人が3人以上のため、控除の上限は2,000万円になります[3]。

想定例

想定例3:相続した家を賃貸に出した後に売却した場合 特例には、相続の時から売却の時まで、事業・貸付け・居住に使っていないことという要件があります[3]。

注意点

特例は自動では適用されません。 特例を受けるには、税務署で確定申告を行う必要があります[4]。適用を受けられるかどうかは、税務署または税理士にご確認ください。

売却の期限に注意してください。 特例には「2027年12月31日までの売却」と「相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却」の2つの期限があります[3]。

相続人が複数いる場合の話し合いについて。 誰が不動産を取得するか、どのように売却するかについて相続人の間で意見が分かれる場合は、弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。当サイトでは、個別の事案についての助言は行っていません。

制度は改正されることがあります。 この記事は記事末尾の確認日時点の情報です。最新の要件は、各出典元でご確認ください。

売却・買取という選択肢

相続した空き家を売る方法には、仲介で売る方法と、不動産会社に買い取ってもらう方法などがあります。仲介と買取の違いは「千葉県で空き家を売却する方法」「千葉県の空き家買取とは?」で解説しています。

参考資料

  1. 法務省「相続登記の申請義務化について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
  2. 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
  3. 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
  4. 千葉市「被相続人居住用家屋等確認書の交付」https://www.city.chiba.jp/toshi/toshi/anzen/hisouzokuninkyojyuuyoukaoku.html
  5. 千葉県「令和5年住宅・土地統計調査 千葉県確報集計結果の概要」https://www.pref.chiba.lg.jp/toukei/toukeidata/jutakutochi/r5/r5jutakutochikekka.html
  6. 国土交通省「空き家の取得経緯・所有者の居住地との関係」(令和元年空き家所有者実態調査より)https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001518774.pdf