結論

適切に管理されていない空き家は、空家等対策特別措置法にもとづき、市町村から「管理不全空家」または「特定空家」として指導や勧告を受けることがあります[1]。勧告を受けると、その土地は固定資産税等の住宅用地特例の対象から外れます[1][2]。特定空家に対する命令に違反した場合は50万円以下の過料の対象となり、行政による強制撤去(代執行)が行われることもあります[1]。

この記事で分かること

  • 2023年12月の法改正で新設された「管理不全空家」とは何か
  • 管理不全空家・特定空家に対する市町村の対応の流れ
  • 勧告を受けた場合の固定資産税への影響
  • 千葉県の空き家の状況

空家等対策特別措置法の改正(2023年12月13日施行)

空き家の管理などについて定めた「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家法)は、2023年(令和5年)12月13日に改正法が施行されました[3]。改正の主なポイントの一つが、「管理不全空家」という区分の新設です[1][3]。

区分内容
特定空家そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態、のいずれかにあると認められる空き家
管理不全空家適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば特定空家に該当することとなるおそれのある空き家

出典:政府広報オンライン[1]、国土交通省[2]。特定空家の定義は空家等対策特別措置法第2条第2項による。

市町村の対応の流れ

政府広報オンラインによると、市町村の対応は次の流れで進みます[1]。

段階管理不全空家特定空家
1管理不全空家の認定特定空家の認定
2指導助言・指導
3勧告(住宅用地特例の対象から除外)勧告(住宅用地特例の対象から除外)
4―命令(違反すると50万円以下の過料)
5―行政による強制撤去等(代執行)

また、改正により、緊急に除却が必要な特定空家については、命令等の手続きを経ずに代執行ができるようになりました[1]。

勧告を受けると固定資産税はどうなるか

住宅が建っている土地(住宅用地)には、固定資産税等の負担を軽くする「住宅用地特例」があります[2]。

区分固定資産税の課税標準
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)6分の1に減額
一般住宅用地(200㎡を超える部分)3分の1に減額

出典:政府広報オンライン[1]、国土交通省[2]

管理不全空家または特定空家として勧告を受けると、その土地はこの住宅用地特例の対象から除外されます[1][2]。空家法の手続きの上では、認定や指導の段階ではなく、「勧告」を受けた段階で特例の対象外になります。

なお、国土交通省の資料では、総務省の通知(平成27年)により、構造上住宅と認められない状況にある場合や、使用の見込みがなく取壊しを予定している場合、居住のために必要な管理を怠っていて今後人が住む見込みがないと認められる場合などは、特例の対象となる「住宅」に該当しないとされていることも示されています[2]。

千葉県のデータ

千葉県の空き家は39万4,100戸で、このうち賃貸・売却用や別荘などを除いた空き家(長期不在の住宅など)は15万8,500戸です[4]。この「その他の空き家」は、2018年(平成30年)の14万4,400戸から1万4,100戸増えています[4]。

千葉県は、県のウェブサイトで空き家対策の情報を公表しています[5]。管理不全空家・特定空家の認定や指導などは、空き家がある市町村が行います。

具体例(想定例)

以下は、制度の流れを説明するための想定例です。

想定例

想定例1:管理不全空家として指導を受けた場合 指導の段階では、住宅用地特例の対象から除外されません。指導に従わず勧告を受けると、その土地は住宅用地特例の対象から除外されます[1]。

想定例

想定例2:特定空家として命令を受けた場合 命令に違反すると、50万円以下の過料の対象になります[1]。

注意点

認定の基準は市町村が判断します。 管理不全空家・特定空家に当たるかどうかは、空き家がある市町村が判断します。ご自身の空き家の状況については、市町村の空き家対策の担当窓口にお問い合わせください。

税額は物件によって異なります。 住宅用地特例から除外された場合に税額がいくらになるかは、土地の面積や評価額などによって異なります。具体的な税額は、市町村の資産税担当窓口でご確認ください。

制度は改正されることがあります。 この記事は記事末尾の確認日時点の情報です。

売却・買取という選択肢

使う予定のない空き家を管理し続けることが難しい場合、売却して手放すという選択肢があります。主な方法は、仲介で売る、不動産会社に買い取ってもらう、空き家バンクに登録する、の3つです。詳しくは「千葉県で空き家を売却する方法」で解説しています。

参考資料

  1. 政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」(2024年3月)https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5949.html
  2. 国土交通省住宅局「令和5年度 税制改正事項」(固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001621264.pdf
  3. 宝塚市「空家等対策の推進に関する特別措置法が改正されました。」https://www.city.takarazuka.hyogo.jp/1060678/1060691/1028025/1055477.html
  4. 千葉県「令和5年住宅・土地統計調査 千葉県確報集計結果の概要」https://www.pref.chiba.lg.jp/toukei/toukeidata/jutakutochi/r5/r5jutakutochikekka.html
  5. 千葉県「空き家対策」https://www.pref.chiba.lg.jp/juutaku/seisaku/akiya/akiyataisaku.html