結論
古い家を売る主な方法は、「建物があるまま売る」「建物を取り壊して更地で売る」「不動産会社に買い取ってもらう」「空き家バンクに登録する」の4つです。1981年(昭和56年)以前に建てられた家は「旧耐震基準」で建てられ、耐震性が不十分なものが多いとされています[1]。千葉県内では、耐震診断や耐震改修の補助を各市町村が行っています[2]。固定資産税の住宅用地特例は、住宅が建っている土地(住宅用地)が対象です[5]。そのため、建物を取り壊して更地にすると、この特例の対象ではなくなる点に注意が必要です。
この記事で分かること
- 古い家を売る4つの方法と、それぞれの特徴
- 「旧耐震基準」とは何か
- 建物の状態を確かめる方法(耐震診断・建物状況調査)と、千葉県内の補助制度
- 更地にする場合と、相続した古い家を売る場合の注意点
古い家を売る4つの方法
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| 建物があるまま売る | 建物を取り壊さずに、土地と建物をそのまま売却する |
| 更地にして売る | 建物を取り壊し、土地として売却する |
| 買取を依頼する | 不動産会社が自ら買主となり、物件を直接買い取る |
| 空き家バンクに登録する | 市町村などが運営する制度に登録し、利用希望者を募る |
どの方法が向いているかは、建物の状態、立地、取り壊しにかかる費用、売却を急ぐかどうかなどによって異なります。仲介と買取の違いは「千葉県で空き家を売却する方法」「千葉県の空き家買取とは?」で解説しています。
「古い家」の目安:旧耐震基準
国土交通省は、昭和56年以前に建築された建物は、建築基準法の耐震基準が強化される前のいわゆる「旧耐震基準」によって建築され、耐震性が不十分なものが多く存在するとしています[1]。そのうえで、まず耐震診断を実施して建物の耐震性を把握し、不十分な場合は耐震改修や建替えを検討するよう呼びかけています[1]。
千葉市の補助制度では、対象を「昭和56年(1981年)5月31日以前の耐震基準によって建設された木造住宅」としています[3]。
建物の状態を確かめる方法
耐震診断
耐震診断は、建物が地震に対してどの程度の強さを持っているかを調べるものです。国土交通省によると、耐震診断や耐震改修には費用がかかりますが、国と地方公共団体が協力してさまざまな支援制度を設けています[1]。
建物状況調査(インスペクション)
建物状況調査とは、既存の住宅の基礎や外壁などに生じているひび割れや雨漏りなどの劣化・不具合の有無を、目視や計測などで調べるものです[4]。
中古住宅の売却を不動産会社に依頼して媒介契約を結ぶ際、不動産会社は、建物状況調査を実施する者のあっせんを希望するかどうかを依頼者に確認し、その内容を媒介契約書に記載することになっています[4]。媒介業務の一環として行われるため、あっせんを受けても、媒介報酬とは別にあっせん料を支払う必要はありません[4]。
千葉県のデータ
耐震診断・耐震改修の補助は、市町村が窓口です。 千葉県内の市町村では、住宅の所有者が行う耐震診断や耐震改修などに対する補助事業を行っています[2]。申請の窓口は住宅がある各市町村で、千葉県は住宅の所有者への直接の補助は行っていません[2]。千葉県のウェブサイトでは、市町村ごとの補助制度の実施状況が一覧で公開されています[2]。
千葉市の例(令和8年度): 千葉市は、旧耐震基準で建設された木造住宅の耐震診断費用の一部を補助しており、補助額は耐震診断に要する費用の5分の4、限度額は9万6千円(消費税を除く)です[3]。
また、千葉県の空き家のうち、賃貸・売却用や別荘などを除いた空き家(長期不在の住宅など)は15万8,500戸です[6]。
具体例(想定例)
以下は、制度の仕組みを説明するための想定例です。個別の事情によって結論は変わります。
想定例1:千葉市内にある、1975年に建てられた木造住宅の耐震診断を受ける場合 旧耐震基準で建設された木造住宅のため、千葉市の耐震診断の補助の対象となる可能性があります[3]。補助を受けるには、交付の決定を受けた後に耐震診断に着手する必要があります[3]。受付期間や募集戸数は、千葉市のウェブサイトでご確認ください。
想定例2:1975年に建てられた実家を相続し、売却を考えている場合 相続した空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋が対象で、家屋について一定の耐震基準を満たすこと、または家屋を取り壊すことなどの要件があります[7]。詳しくは「千葉県で相続した空き家を売る方法」で解説しています。
注意点
更地にすると、住宅用地特例の対象ではなくなります。 住宅が建っている土地には、固定資産税などの負担を軽くする住宅用地特例があります[5]。建物を取り壊して住宅がなくなると、この特例の対象ではなくなります。取り壊しの時期や税額への影響は、市町村の資産税担当窓口でご確認ください。
補助制度は、市町村・年度ごとに異なります。 補助の対象、補助額、受付期間は市町村ごとに定められ、年度によって変わります[2]。たとえば千葉市では、補助の交付決定を受けた後に耐震診断に着手する必要があります[3]。申請の手順は、事前に市町村の窓口でご確認ください。
「国の依頼で耐震診断をしている」という勧誘に注意してください。 国土交通省には、国の依頼を受けて耐震診断を行っている、耐震改修が法律で義務付けられている、などと言われたという問い合わせが寄せられています。国土交通省は、個別の住宅・建築物に対する耐震診断や耐震改修を直接行っていません[1]。
買取の契約はクーリング・オフの対象外です。 不動産会社に家を売却する契約には、宅地建物取引業法のクーリング・オフは適用されません。詳しくは「千葉県の空き家買取とは?」をご覧ください。
売却・買取という選択肢
古い家は、建物があるまま売る、更地にして売る、不動産会社に買い取ってもらうなど、複数の方法から選べます。取り壊しには費用がかかり、更地にすると住宅用地特例の対象ではなくなるため、取り壊す前に、建物があるままでの売却や買取の条件もあわせて確認しておくと、比較して判断できます。
参考資料
- 国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000043.html
- 千葉県「市町村耐震関連補助事業について」https://www.pref.chiba.lg.jp/kenchiku/taishinhojo.html
- 千葉市「令和8年度千葉市木造住宅耐震診断補助制度のご案内」https://www.city.chiba.jp/toshi/kenchiku/shido/03_w-shindan.html
- 国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A」https://www.mlit.go.jp/common/001201152.pdf
- 政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5949.html
- 千葉県「令和5年住宅・土地統計調査 千葉県確報集計結果の概要」https://www.pref.chiba.lg.jp/toukei/toukeidata/jutakutochi/r5/r5jutakutochikekka.html
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm